コラム

若者に多い消化器病

2024.08.01

大阪市東住吉区にある医療法人金子外科では、地域の皆様のホームドクターとして、患者様お一人ひとりに丁寧で継続的なサポートをご提供しております。このブログでは、患者様の健康維持に役立つ情報をお届けしてまいります。近年、若い世代で増加傾向にある消化器疾患。繰り返す腹痛や下痢、血便などの症状でお悩みの方は、病気の可能性も考えられます。早期発見と適切な治療が大切なため、このブログでは若い世代で増加傾向にある各疾患の原因、症状、治療法について詳しく解説します。

 

 

 

若者に多い3つの消化器病

若い世代に多く見られる消化器疾患の症状です。下記の症状が当てはまる場合は、お早めに消化器内科を受診し、専門医の診察を受けることをおすすめします。

こんな症状ありませんか?

・ 長期間続く下痢や血便

・ 繰り返す腹痛

・ 体重減少や発熱

・ 突然の強い左下腹部痛

・ 血便や粘血便

・ 水様性の下痢

・ 空腹時の心窩部痛

・ 吐血や黒色便(消化管出血の兆候)

・ 体重減少や貧血

受診をおすすめするタイミング

・症状が2週間以上続く場合

・症状が次第に悪化する場合

・血便や吐血、黒色便がある場合

・激しい腹痛により日常生活に支障をきたす場合

・原因不明の発熱や体重減少を伴う場合

考えられる消化器疾患

・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)

・虚血性大腸炎

・十二指腸潰瘍

炎症性腸疾患(IBD)について

炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease; IBD)は、消化管に慢性的な炎症が起こる病気の総称で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病が含まれます。国内の患者数は約30万人と推定され、特に若年層での増加が顕著です。

潰瘍性大腸炎の特徴と症状

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が生じ、びらんや潰瘍を形成する病気です。下痢、血便、腹痛が主な症状で、30代から40代での発症が多くみられます。再燃と寛解を繰り返し、長期的には大腸がんのリスクが高まります。

クローン病の特徴と症状

クローン病は、口から肛門までの消化管のあらゆる部位に炎症が起こる可能性がある病気です。若年層、特に10代から20代での発症が多く、腹痛、下痢、発熱、体重減少、貧血などが主な症状です。小児では成長障害につながることもあります。

炎症性腸疾患の治療法

炎症性腸疾患の治療目的は、症状の改善と寛解の維持です。潰瘍性大腸炎には、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制剤などの薬物療法が用いられます。クローン病では、栄養療法や禁煙指導も重要です。ストレス管理と規則正しい生活習慣も大切です。

虚血性大腸炎について

虚血性大腸炎は、大腸への血流が悪くなることで発症する病気で、高齢者だけでなく若い女性にも増えています。

虚血性大腸炎の原因と危険因子

大腸の血流障害が主な原因で、動脈硬化、低血圧、脱水、便秘などが関与します。慢性的なストレス、脂質異常症、糖尿病、喫煙なども危険因子とされています。

虚血性大腸炎の症状と診断

突然の強い左下腹部痛、血便、水様性の下痢が典型的な症状です。確定診断には大腸内視鏡検査が必要で、特徴的な縦走潰瘍の所見を認めます。当院では患者さんの負担を最小限に抑えた検査を心がけています。 

虚血性大腸炎の治療

多くの場合、絶食と補液による保存的治療で改善が期待できます。

十二指腸潰瘍について

十二指腸潰瘍は、胃の出口である十二指腸に潰瘍ができる病気で、比較的若い世代での発症が多いのが特徴です。

十二指腸潰瘍の原因と症状

ピロリ菌の感染や、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の長期使用が主な原因です。空腹時の心窩部痛が典型的な症状で、合併症として出血や穿孔を起こすこともあります。

十二指腸潰瘍の診断と治療

診断には上部消化管内視鏡検査が必要です。治療は、ピロリ菌の除菌療法と胃酸分泌抑制剤の投与が中心となります。再発予防のために、ピロリ菌の除菌が重要です。

重症化する前に、気になる症状が続くときには専門医に相談を

若者に多い消化器病として、炎症性腸疾患、虚血性大腸炎、十二指腸潰瘍を取り上げました。これらの病気は、正しい診断と適切な治療をおこなわないと重症化するリスクがあります。繰り返す腹部症状でお悩みの方は、早めに専門医への相談をおすすめします。医療法人金子外科では、的確な検査・診断のために患者様のご負担を最小限に抑える胃カメラ検査をご提供しております。患者様に寄り添った診療を心がけていますので、症状にお悩みの方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

 

 

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