大阪市東住吉区にある医療法人金子外科では、地域の皆様のホームドクターとして、患者様お一人ひとりに丁寧で継続的なサポートをご提供しております。このブログでは、患者様の健康維持に役立つ情報をお届けしてまいりします。年齢を重ねると、胃腸の調子が悪くなったと感じる方が多くいらっしゃいます。しかし、これらの症状は単に年齢のせいではなく、さまざまな消化器の病気が隠れている可能性があります。今回は、中高年に多い消化器の変化とその症状、そして代表的な消化器の病気についてくわしく解説します。
中高年に起こりやすい消化器の変化
こんな症状はありませんか?
- 食事量の減少
- 脂っこい食事あとのもたれ感
- 胸やけやげっぷの増加
- 咀嚼・嚥下機能の低下
食事量の減少
加齢とともに筋肉量が減少し、基礎代謝が低下します。また、胃液など消化に必要な分泌物も減少するため、消化力自体も衰えます。これにより、自然と食事量が減ってしまいます。対策として、適度な運動を心がけ、栄養バランスの良い食事を意識的に取ることが大切です。
脂っこい食事のあとのもたれ感
年齢を重ねると、肝臓の機能が低下し、脂肪を分解する胆汁の分泌が減少します。また、胃の運動機能も衰えるため、脂っこい食事が胃にとどまりやすくなります。これが「胃もたれ」の原因となります。対策として、脂質の摂取を控えめにし、消化しやすい食事を心がけましょう。また、食事の時間や量にも注意を払うことが重要です。
胸やけやげっぷの増加
食道と胃の境目にある括約筋が衰えると、胃酸が食道に逆流しやすくなり、胸やけの原因となります。また、胃に空気がたまりやすくなり、げっぷも増えます。食後すぐに横にならない、就寝前の食事を避ける、食事をゆっくり良く噛んで食べるなどの生活習慣の改善が効果的です。
咀嚼・嚥下機能の低下
顎の筋力低下や歯の問題により、咀嚼や嚥下の機能が低下することがあります。これにより、食べ物を十分に噛み砕けなくなったり、飲み込みにくくなったりします。これらは誤嚥性肺炎のリスクを高める可能性があるため、注意が必要です。定期的な歯科検診や口腔体操の実践が予防に役立ちます。また、必要に応じて義歯の調整や、食事の形態を工夫することも大切です。
こんな症状があれば要注意、専門医による検査をおすすします
- お腹が痛い・胃が痛い
- 食欲がない
- 便秘が続く
- 下痢が続く
- 血を吐いた(吐血)
- 便に血が混じる(下血)
- 胸やけがひどい
- お腹が張る・ガスが多い
お腹が痛い・胃が痛い
痛みの特徴や発生するタイミングによって、考えられる病気が異なります。例えば、空腹時に痛みを感じ、食事で和らぐ場合は十二指腸潰瘍の可能性があります。一方、食事中や食後に痛みを感じる場合は、胃潰瘍や過敏性腸症候群などが考えられます。
疑われる病気…胃潰瘍、十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、胃がん、大腸がんなど
食欲がない
長期間続く場合は、胃の病気の可能性を疑う必要があります。特に、体重減少を伴う場合は要注意です。
疑われる病気…胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、胃がんなど
便秘が続く
3日以上排便がない状態が続く場合は便秘と言えます。慢性的な便秘は腸の病気のサインかもしれません。腹痛や腹部膨満感を伴う場合は、早めに受診しましょう。
疑われる病気…過敏性腸症候群、大腸がん、甲状腺機能低下症など
下痢が続く
急性の下痢は食中毒などが考えられますが、1ヶ月以上続く慢性的な下痢は、より深刻な消化器の病気の可能性があります。特に血便や粘液便を伴う場合は要注意です。
疑われる病気…感染性腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)など
血を吐いた(吐血)
吐血は緊急性の高い症状です。少量でも赤黒い血液を吐いた場合は、すぐに医療機関を受診してください。大量の鮮血を吐く場合は、救急車を呼ぶべきです。
疑われる病気…胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、胃がん、食道がんなど
便に血が混じる(下血)
鮮やかな赤い血が混じる場合は肛門に近い部分からの出血、黒い便(タール便)の場合は胃や十二指腸などからの出血が考えられます。継続する場合は必ず受診しましょう。
疑われる病気…痔、大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病など
胸やけがひどい
頻繁に起こる場合は、食道の粘膜が傷ついている可能性があります。夜間の症状や、咳や喘息様症状を伴う場合は要注意です。
疑われる病気…逆流性食道炎、胃食道逆流症(GERD)など
お腹が張る・ガスが多い
腹部膨満感やガスの増加は、腸の動きの異常や消化機能の低下が原因かもしれません。急激な症状や激しい痛みを伴う場合は、腸閉塞の可能性もあるため、すぐに受診しましょう。
疑われる病気…過敏性腸症候群、腸閉塞、消化不良など
中高年に多い消化器の代表的な病気
消化器は私たちの体にとって重要な役割を果たしています。しかし、様々な要因により消化器の病気にかかることがあります。ここでは、消化器の代表的な病気について解説し、早期発見・早期治療の重要性をお伝えします。
消化器の役割とは
消化器の主な役割は、体に必要な栄養素を血液中に吸収することです。食物を消化し、不要なものを排出する働きがあります。また、有害な物質から体を守る防御機能も備えています。これらの働きは、自律神経やホルモンによって制御されています。
消化器のがん
消化器のがんは死亡原因として多く、早期発見が非常に重要です。胃カメラや大腸カメラによる内視鏡検査で、食道がん、胃がん、大腸がんを早期に発見できる可能性が高まります。早期発見すれば治癒できることが多いため、定期的な検査をお勧めします。
ピロリ菌感染症
ピロリ菌は胃内に生息する細菌で、胃潰瘍や胃がんの原因となることがあります。胃カメラ検査でピロリ菌の有無を確認し、陽性の場合は除菌治療を行います。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流して炎症を起こす病気です。生活習慣や加齢が原因となることがあります。胸やけや胸部の違和感などの症状がみられます。内視鏡検査で診断し、胃酸を抑える薬で治療します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃酸やピロリ菌、食生活などが原因で胃や十二指腸の粘膜が傷つく病気です。みぞおちの痛みや胃もたれなどの症状が現れます。薬物治療が主な治療法となります。
肝炎と肝硬変
肝炎はウイルスによるものが多く、慢性化すると肝硬変に進行する可能性があります。初期は無症状のことが多いため、定期的な検査が重要です。
胆石症と胆のう炎
胆石症は胆汁の成分が固まって石状になる病気です。胆のう炎は胆のうに炎症が起こる病気で、右脇腹の痛みや発熱などの症状が現れます。
すい炎とすい臓がん
すい炎はすい臓に炎症が起こる病気で、腹痛や嘔吐などの症状があります。すい臓がんは早期発見が難しく、進行も早いため注意が必要です。
大腸炎と大腸がん
大腸炎には様々な種類があり、血便や下痢などの症状が現れます。大腸がんは日本でも発症率が高く、早期発見が重要です。便潜血検査で陽性の場合は、必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。
過敏性腸症候群
腸の機能異常により、下痢や便秘、腹痛などの症状が現れる病気です。ストレスや食生活が関係していると言われています。
消化器の症状は、加齢による自然な変化だけでなく、さまざまな病気のサインである可能性
消化器の症状は、加齢による自然な変化だけでなく、さまざまな病気のサインである可能性があります。症状が継続したり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、専門医の診察を受けることが大切です。医療法人金子外科では、患者様の症状や生活習慣をくわしくお聞きし、適切な検査と診断をおこなっています。内視鏡検査や超音波検査など、最新の設備を用いて早期発見に努めています。また、生活習慣の改善アドバイスや、必要に応じた薬物療法、長期的なフォローアップなど、総合的な治療をご提供しています。早期発見・早期治療が、大切になりますので気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。定期的な健康チェックも重要ですので、症状がなくても、年に一度は消化器の検査を受けるようにしましょう。